A.青色申告の主たる特典の一つに、純損失の繰越控除と繰戻還付があります。純損失の繰越控除と繰戻還付というのは、事業所得等が赤字であって、かつ、純損失、つまり損益通算をしてもなお控除しきれない損失が発生した場合には、その損失額を翌年以後3年間にわたり繰り越し、各年分の所得から控除することが可能であり、また、前年も青色申告を行っているときには、こうした純損失の繰越しではなく、その損失額を前年分の所得に繰り戻して、前年分の所得税の還付を受けることも認められているものです。
青色申告の主たる特典には、上記の純損失の繰越しと繰戻し以外に、次のようなものが存在します。
1.青色事業専従者給与の必要費算入
青色事業専従者、つまり青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族の中で、年齢が15歳以上であって、一定の期間その青色申告者の事業に専ら従事している者に払った給与が、あらかじめ税務署に提出した届出書に記載のある金額の範囲内で専従者の労務の対価として相当な金額である場合には、その給与を必要経費に算入します。
ちなみに、青色事業専従者として給与の支払いを受ける者が、控除対象配偶者や扶養親族になることは不可能です。
2.一括評価による貸倒引当金の必要経費算入
事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、その事業を遂行するに当たり発生した売掛金・貸付金等の貸金(個別評価貸金等を除きます。一括評価貸金といいます)の貸倒れによる損失の見込額として、年末における貸金の帳簿価額を合算した額の5.5%(金融業のときは3.3%です)以下の金額を貸倒引当金勘定に繰り入れた場合には、その金額を必要経費に算入します。
3.青色申告特別控除
不動産所得又は事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、これらの所得に係る取引を正規の簿記の原則に沿って記帳し、その記帳を基にして作成した貸借対照表を損益計算書と一緒に確定申告書に添えた上で確定申告期限までに提出した場合、原則として不動産所得又は事業所得から最高65万円を差し引きます。
そして、上記以外の青色申告者である場合には、不動産所得、事業所得又は山林所得から最高10万円を差し引くことになります。